連載「僕の知事選、奮闘記」 〜敗軍の将、兵を語る〜

連載の前に(第一回)

 知っている人は知っているが、知らない人は知らないだろうが、私は平成25年の静岡知事選に立候補し、歴史的な大敗を喫した。出馬打診から選挙、そして敗戦までのまさに「疾風怒濤」の3ヶ月を整理している。いつのまにか整理して書き下ろした文章が6万字を越えた。それを連載コラムとしてブログにあげようと思う。選挙が終わってちょうど一ヶ月の7月16日(「16日はイチとロクでイチローの日」。既に懐かしいフレーズだ。)に連載開始する。私が「選挙に負けてショゲている」ことを期待されている方は、是非、読まないで欲しい。不愉快になるはずだ。(FBで「あなたに投票した34万人の静岡県民の気持ちを考えろ!」という投稿があった。私は「冷静に」知事選に立候補し、負けた後も「冷静」だ。残念ながら、情緒的な反応に応える能力がない。ご期待に沿えず、申し訳ない。

 「敗軍の将、兵を語らず」は、最も有名な中国の故事の一つで、「史記」に書かれている。漢の武将で名高い韓信がある戦いで配下の知将、李左車に戦法を尋ねたおりに、李将軍が答えたのがこの言葉だ。李は実はかつて韓信の敵方の将軍であり、李将軍の提案が採用されなかったために韓信が勝利した、と言われた。そこで、韓信はその才を惜しんで、召し抱えた。(他の将軍は全員打ち首になった。)李は、「負けた側の将軍だった私に、戦法を語る資格はございません」という謙譲を示した。下って、この言葉は「潔い態度」として人々に語り継がれている。

 逆に「兵を語る敗将」、つまり「負けた方が負けたことについて言いわけをするコト」は、潔くない態度の極みだと言われる。そこで、第一に明記しておきたい。私がここで述べたいのは「言いわけ」ではない。

 実際、私は静岡県知事選で完敗した。何しろ、相手の現職「川勝平太」氏は、今回の静岡県知事選で史上最高の得票108万を記録した。それもほぼ50%(49.49%)という低い投票率の中で、である。しかも、私の方は、「アベノミクス」を背景に、未曾有の高支持率を維持している安倍内閣の自民党から出たのだ。(注:県連の「推薦」だが、党中央からは「支持」。この違いは後に触れるだろう。)「保守王国」として名高い静岡県で、私が対抗した現職は、史上ただ一人の非自民で、今や落ち目の象徴となった民主党が4年前にかついで、異常な民主党ブームの勢いにのって当選した方である。これだけの好条件で、ダブルどころではなく、トリプルスコアでの敗戦である。言い訳のしようが無い。その原因は、誰が考えても「広瀬は弱かった」に尽きる。その「史上最弱候補」(頼むから「泡沫候補」とは呼ばないでくれ!)が、「兵を語る」のはなぜか? (2013/07/12)

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日時: 2013.07.15|