連載「僕の知事選、奮闘記」 〜敗軍の将、兵を語る〜

 連載No35 (1)成長戦力①「既存産業の伸びシロ」を情報戦略で伸ばす 2013/0828

 経済政策の目玉は、「アベノミクス」と関連づけて展開する必要があった。アベノミクスの「3本の矢」の3本目の「成長戦略」を静岡で行うとすると、どんな可能性があるだろうか?静岡県の場合、「経済を今以上に成長させる戦略」自体、実はそれほど難しい問題ではない。これだけ豊かな地域も珍しいが、「それらが活かしきれていない」コトは、中央でもかなり知られている。(気候が温暖なせいか、どうも厳しさに欠ける嫌いがある。極限の勝負を挑まない。従って、コストにおける「絞りシロ」と、売り上げの「伸びシロ」の両方が十分に残っている。まあ、お人好しだとも言えるんだが。)

 東京を去る前に何人かの有識者と会い、意見を交換した所、異口同音に「羨ましいなあ」だった。潜在力が高いのだから、それらを顕在化すれば良いのだ。「資源が乏しいところを振興させる」コトと比べたら、実をあげるコトは明らかに容易だと言える。

 「良いモノがあるのに売れない」という問題を解消するのが、まさにマーケティングの役割だ。私が20年の間在籍していた電通という会社は、マーケティングに特化して成功している会社だ。広告はマーケティングの一部に過ぎない。マーケティング戦略の無い広告は、仮に成功したにせよ、その効果は一時的なものに留まらざるを得ない。だから、「マーケティングとは何か?」を理解しておく必要がある。

 マーケティングとは、第一に市場(マーケット)を拡大することだ。次に、市場規模(マーケットサイズ)が限界まで大きくなったら、「市場において競合に勝つコト」が必要になる。そのために「差別化」が行われる。これがマーケティングの基本原理だ。かつて、需要を満たす程の供給力(生産力)が無いころは、「良いモノを作れば売れた」。が、1970年代に需要以上の生産が可能になった先進国では、常に「在庫」というリスクを企業が抱えるようになっていた。そこで、まずは「市場規模」を拡大するための需要拡大策が取られた。

 典型的な成功事例は、自動車産業における「モデル・チェンジ」だ。技術力が高まればクルマの耐用年数は伸びるはずだが、これは需要をむしろ減らすことになる。使えるクルマを買い替えさせるためにGMが考案したのが、定期的なモデルチェンジだった。耐用年数が10年のクルマを4年に一度のモデルチェンジで買い替えさせれば、単純計算では市場の需要は2.5倍になる。新たな需要を喚起するには、「新しいモノは良い」という意味(コード)を一般化させることが効果的だ。それを担ったのが、マスメディアによって作られた「ファッション」という考え方だ。これを「モード(Mode)」と言う。

 つまりマーケティングとは、第一に啓蒙活動によって,「新しもの好き」な消費者を育成することだったのだ。そのために最も効果的な啓蒙活動が、マスメディアを利用した広告だった。広報やPRは広告を効果的にするための基盤作りに効果がある。つまり、消費の需要は「情報」によって形成されるというコトなのだ。

 

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日時: 2013.08.28|