連載「僕の知事選、奮闘記」 〜敗軍の将、兵を語る〜

連載No25 スポーツマネジメント・スクール(SMS)創立 2013/0817

 「Jリーグの制度設計」の研究を通じて、「スポーツ・マネジメント」というナレッジの構造が見えてきた。「法務」「財務」「人事」「営業・マーケティング」という一般のビジネス・ナレッジに加え、「メディア」「自治体」のナレッジが不可欠であることが明確になった。これらは「スポーツ産業」の利害関与者(ステークホルダー)を整理すると、更に明確になる。これらのナレッジは、それぞれの分野における「リスク」に対応することも分かってきた。「マネジメント」とは、究極的には、組織の「リスク」に対応するナレッジの集積、と定義することができる。マネジメント学の権威ドラッカーの言葉に「マネジメントは成果から定義する」を言い換えると、個別のリスクから必要なナレッジが判明する、というわけだ。

 ここまで来ると、いよいよ「スポーツ・マネジメント」の構造化と形式知化、そしてそれを元にした「人材育成」の形が見えてきた。各分野で活躍中の一流のビジネスマンに、趣旨を話し、講師となってもらうことができた。セミナーの「ビジョン」「コンセプト」「実施カリキュラム」「講師」の確定には、RIETIで立ち上げた「スポーツマネジメント研究会」で凡そ半年、じっくりと時間をかけて策定した。研究員の全員が講師を快く引き受けてくれた。

 RIETIでの研究を元に、「スポーツ・マネジメント」のセミナーを実施したいと、東大の(財)運動会に提案したところ、快く引き受けてくれた。(私が、かつて東大のサッカー部に所属した運動会の会員であったことも功を奏した。)こうして「東大・スポーツ・マネジメント・スクール(SMS)」が2004年にスタートした。

 日本のスポーツ産業を改革するためには、「体育」との混同を無くすことが必要だ、と書いた。これはビジネスではなく、第一に「教育」だからだ。98年に「スポーツの社会的機能(Social Performance)」という論文を書いた。(実はRIETIの青木所長はこれを読んでいたらしい。その守備範囲の広さには舌を巻くしかない!)この論文では、スポーツが社会に寄与する分野として、「教育」「健康」「外交」「経済」「地域振興」の5つの分野をあげた。スポーツは言うまでもなく「文部科学省」管轄なので、「スポーツによる健康増進」を図ろうとすると、「健康」は厚生労働省マターなので越権行為とみなされる。我々庶民からするとバカバカしいが、霞ヶ関の論理ではシャレにならない。(この縦割りの頑固さについては、静岡県のWカップ顧問の際に直面した。)スポーツという間口の広いソフトを活かすには、縦割りを越えた組織が必要だ。それが「スポーツ省」の設立が必要な理由だ。地方自治体レベルでは「スポーツ・コミッショナー」が必要だ。(知事選で提起した「政策」として後述する。)

 「スポーツ」と「体育」の違いを学童時代にちゃんと教えることは、スポーツ産業の確立の上でも重要なことだ。「スポーツマンシップの普及」と、「スポーツ・マネジメントの確立」というトップからの二本立ての改革で、日本のスポーツ産業の変革を図り、更にスポーツ全体の変革につなげる。最終的には、スポーツの健全化を社秋全体の健全化につなげる。これがRIETI時代に立てた戦略だった。

 

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日時: 2013.08.17|