連載「僕の知事選、奮闘記」 〜敗軍の将、兵を語る〜

連載No28 千葉ロッテの経営改革 その2 2013/0824

 プロスポーツ・クラブの経営改革の第一は、「ガバナンス」の確立だ。スポーツ界では、おしなべて組織としての責任の体系が不明だ。(「全柔連」などはその最たるモノだろう。それがあのようなスキャンダルを生み出す原因になっている。他の団体も「もって他山の石とすべし」。)Jリーグの経営諮問員を拝命した時にも、この問題をクラブ経営の問題点として指摘しておいた。そして、そのチェックポイントも分かっていた。(ちなみに、私は「社会生産性本部」の「経営品質」のセルフアセッサーの資格を1年かけて取得していた。)

 が、顧問として関わる以上、問題点の指摘だけでは不十分。どのように解消すべきか、と示さなければならない。そこで、「指定管理者」として応募し、施設の運営権を取得するとともに、組織のガバナンス問題も解決することにした。公的に施設運営を託すためには、「事業計画」と「ガバナンス」を明らかにする必要がある。これが無いと、そもそも応募できない。そして締め切りがあるので、俟ったなしとなる。

 その前に、スタジアムを「指定管理者制度」の対象とする、という作業があった。平成17年に地方自治法の244条が改訂されて、自治体の所有する公的な施設の運営管理を民間が請け負うことが可能になった。この請負者を「指定管理者」という。自治体の財政が苦しくなり、施設の運営費に割く予算に回せる資金が少なくなっていた。一方で、住民サービスの質を落とすワケにはいかない。そこで、「コスト削減とサービスの向上」という「トレードオフ問題」を、日々市場で求められている民間の力を借りよう、という事情が背景にある。民活の一環として考えてもいいだろう。(民活はレーガン・サッチャー政権以降、先進国での流れとなっていた。)この法律は必ずしもスポーツ施設のみを対象としたものではないが、事前の首長へのアンケート調査では、「スポーツ施設を対象としたい」という自治体が7割を越え、圧倒的なトップだった。

 一方、日本のスポーツ興行の最大の欠陥の一つが、施設の運営権を持っていないことだった。大型の社会体育施設のほとんどが、当該地域の教育委員会に管理権を委ねていた。スポーツが文部科学省の管轄であるから仕方がないが、教育以外の目的での利用には大きな制限があり、プロ・スポーッツ興行には大きな足かせとなっていた

 そんなハンデを抱えた日本のスポーツ興行にとって、指定管理者制度の実現は将に暁光として私には映った。その第一号として千葉ロッテで成功事例を作ろうと考えた。モノゴトが上手くいくためには、実力に加え運が必要だ。この時の千葉市の実力者である助役は、旧自治省の出身で、指定管理者制度の趣旨もよくご存知だった。移行は「奇跡的」と言われる程スムーズに進み、千葉ロッテは指定管理者となったり、スタジアムの管理権を獲得した。スポーツ・リーグ産業の成否を決める「スタジアム・ビジネス」がスタートした。

 その年は、新しい楽天というチームが参入し、セパ交流戦がスタートした、何かと話題の多い年だった。誰も予想しなかったロッテが、栄えある初代の交流戦チャンピオンになった。それだけではなく、パリーグを制し、日本シリーズを制し、アジア選手権を制し、イースタンをも制し、年間六冠を獲得した。日本のプロ野球界を完全制覇したのである。無論、私はビジネス部門のみの顧問であり、競技の強化には携わらなかったが、最後に東京ドームでアジアクラブチャンピオンになったゲームのあとの打ち上げパーティーの席で、ボビー・バレンタイン監督から直接に謝辞をもらった。プロの興行であるからには、ビジネス部門のやる気が選手に伝わらないワケが無い。この点は、他チームの選手からも、Jリーグの選手達からも言われたので、ビジネスが競技力に影響するのはほぼ間違いの無いところだと思う。

 

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日時: 2013.08.24|