連載「僕の知事選、奮闘記」 〜敗軍の将、兵を語る〜

連載No.53  4)防災政策(リスク・マネジメント)  ①ハード 2013/0924

 東日本大震災以降、天災への備えは何にも増して政治の課題として重要になっている。安倍政権でも「国土強靭化計画」を唱え、海に囲まれ、地震の多い我が国で、最も現実的な津波への備えを進めることを言明している。「南海トラフ」の問題は太平洋側の都道府県にとって、誠に深刻である。静岡県を含む9つの県が、「南海トラフ」対策の指定自治体になっている。私の実家は、焼津市の中新田というところにある。海の波打ち際から2kmくらいのところで、「3.11」級の津波が来たら、間違いなく家は流されるだろう。「3.11」以降、実家に帰ると、どうしてもその話題になる。もしもの時の避難導線を確認するが、幹線道路も含めて道路はパニックを起こした住民のクルマで渋滞するだろう。従ってクルマは使えないだろうから、83歳になる母が「徒歩で1km弱先の東名道路の向こうまで避難するのに間に合うかどうか」が勝負だろう、などと話す。決して愉快な話ではなく、話しながら憂鬱になる。

 憂鬱なのはどこも同じだろうが、沿岸部では本当に深刻だ。何しろ、「海への備え」が話題になればなるほど、「沿岸部に住む危険性」が強調されるからだ。実家のある焼津市では人口の流出が止まらなく、本当に笑い事では済まない。海沿いの土地に住もうという人がおらず、土地に値段がつかないのだ。売るに売れず、引っ越すに引っ越せず。政府が沿岸部に防潮堤を作ってくれるのは嬉しいが、その近辺は「危険地域指定」を受けたも同然で、ますます住民は怯え、地価は下落し、人の流出は止まらない。出口の見えない憂鬱な問題だ。

 そこで発想を変えてはどうか、と次のような提案をしたい。基本的な考え方は、

①   コンクリートで沿岸部を全て被うのは非現実的。しかも景観を損なう。

②   天災への備えは、「命を救う」に徹し、建造物は例外を除き、諦める。

③   どうしても守らなければならない建造物周囲のインフラ整備を進める

④   「命を救う」ために、避難場所とそこにたどり着くための導線を確保する

⑤   現在の沿岸部から内陸に移転するためのコストを、むしろ「復旧事業」のために積み立てる

  まず①についてだが、日本はこれまで歴史的に何度も「未曾有の天災」に遭ってきたはずだ。しかし、海の近くに住むことを放棄していない民族だ。「海と供に生きる民族」だと思う。100年に1度、海が怒ることはあるかもしれないが、残りの99年は「海は豊かさをもたらす源泉」なのだ。海が怖い人に強制はしないが、「海と供に生きる覚悟」を持った人には、近くで海を眺めながら暮らす権利があるのではないか?(これは「山の民」にも同じことが言えるだろう。)

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日時: 2013.09.24|