覇者の驕り
下巻、読了。
実におもしろい本だった。
面白すぎる。
久しぶりに読み終えることが寂しいという感情を覚えた。
この本の主題は日米の産業の興亡であり、
60年代から70年代に何が進行していたか
(ハルバースタムの言うところの「ソフトドラマの進行」)である。
それを読むことは1955年生まれの私にとって、
まるで自分の育った時間の追体験のような錯覚を覚える作業だった。
何度も「なるほど、そういう事だったのか」と思わず独り言を。
本書のテーマは、現代の問題と無関係ではない。
そういう意味でリアリティーがある。
そして何より、ハルバースタムの取材力と構成力は圧巻の一言。
「事実は小説より奇なり」は将にこの書で証明されている。
米国がいつから製造業から第3次産業にシフトしていったのか。
優秀な人材であればあるほど製造業から距離のある分野に向かっている。
それは今日のサブプライムローン問題の淵源だとも言えよう。
最終章で「サービス産業へのシフト」という掛け声に隠されたリスクにも言及している。
デトロイトで世界一高い給与を享受していた自動車製造の労働者は
「何でこんなことになってしまったのか」と嘆いているだろう。
それは近い将来の日本の労働者の姿であるかもしれない。
何げないフレーズににやりとする。
例えば「日本人は逆境に強い。順境にはなじめない」という日本人評。
なるほど、なんだが、
それは「豊かさ」を享受することになれていない、ということであり、
当時の(そして今も)日本人の豊かさがいかに薄っぺらのものか、
丸々1ページを割いて記述されている。
”常に卑屈と傲慢の間をいったりきたりする国民性”ってか。
異論の挟みようなし。おみそれしました。
表面と裏腹に日本人は貧しい民族だし、貧しい国家なんだよ。
豊かさは似合わないのさ!!

